『5つの要素と世界』



神は5つの要素をもって、私達のこの世界を創造しました。
最初に、この5つの要素がまず用意されたのです。
それは私達が、「空(そら)」、「空気」、「水」、「地」、「火」として認識しているものです。驚くべきことに、これらの要素に無関係なものはこの世に存在しません。私たちが食べる物、私たちの身体を構成するもの,生きる物すべて、そして命のない物体すべてにこの要素が含まれています。この5つの要素が弦となり交響曲を奏で、私たち人間の生活を甘い歌声で満たしているのです。この形、この素晴らしい、栄光に満ちた、現代のこの世界は、これらの要素なくして有り得なかったのです。これらの5つの要素、あるいは根源の力ともいえるものが、摩訶不思議かつ繊細な形で融合し、生命が形成されているのです。そして生命はまた自らそのバランスを調整し、自らのために様々な機能を作り出しているのです。

古代の人間は植物や他の物を生で食べ、石を砕いて武器としました。その人生は驚きの連続でした。時代がたつにつれ、人は次第に自分の周囲の創造物について理解を深めるようになりました。人は周囲の木々や植物を眺め、山々、自然の風の流れ、空から降る雨、豊かな果物の実り、すばやく優雅な鹿、ひらめく様に踊る魚など様々なものを観察し、驚愕とともに徐々にその性質を理解するようになってきました。

そして人は自然界の力を理解し、コントロールするようになりました。道具を作りだし、様々な発見をしてきました。今ではたったの数秒で、人は世界のどんな遠方の人とも話をしたり、その姿を見ることができます。私たちはインターネットを利用することで、世界中のどこの人とも通信できます。何百万年にもわたるこの進化の過程で成長の掛け橋となったのは、まぎれもなくこの5つの要素なのです。将来、人は宇宙空間を旅するようになるでしょう。その時も、この5つの要素が梯子の役をはたすのです。

この様にして5つの要素の力は無限大であり、私たちの想像を遥かに超えるものです。
それではひとつひとつの要素を詳しく説明しましょう。


The Sky or Space:
<空(そら)、または空間>
夜、私たちが空を見上げると、星々が煌めいているのが見えます。しかし、そのすべてが私たちに見えているわけではありません。裸眼で見るだけでなく、例えば望遠鏡の助けを借りると、宇宙空間の無限の大きさがわかるでしょう。ガリレオが紀元1609年に宇宙空間の秘密を発見してから、裸眼で見える千倍以上の宇宙物質が発見されました。今は強力な天体望遠鏡がありますから、新しい星々や大小さまざまな星雲、星系などが次々と発見されています。将来はもっと強力な天体望遠鏡が発明されるでしょうが、それでも宇宙の果てを見ることは不可能でしょう。それほど宇宙空間、つまりVAASTU(建築の理念)の空間は無限大なのです。

<空>あるいは<空間>は「空(から)、空虚、何もない空間」という意味です。この広大な虚空のなかに数えきれないほどの宇宙物体が整然と、固有の周回軌道を描きながら動いています。無限大の空間の中で動いているのです。その無限大の空間の中で我々の太陽系は、ごくごく小さな部分を占めているのです。

さてその空間ですが、空間は独特の性質を持っています。<音>という特質です。


Air
<空気>
私たちは空気の大海に住んでいます。空気なしでは生きていけません。空気には希有な力があります。大洋を攪乱し、嵐を作りだします。その同じ空気が、地表の気温を調整しています。ひとつの場所が極端な高温や低温になるのを防いでいます。こうして空気は地球を守っているのです。空気は生命を支える酸素だけで構成されているわけではありません。窒素,水素,二酸化炭素,有機物,クリプトン,ヘリウム、ネオン等が適切な比率で含まれています。窒素が78%であれば、酸素は21%です。地球を取りまく防御シールドは大気とも呼ばれます。地球の表面近くを占め、高度が高くなるほど希薄になっていきます。地球を囲む空気の層は大気圏と言います。これがないと太陽の紫外線が地球上に数多くの問題や病気を引き起こすことになります。また、イオン層が鏡のように色々な電波を反射していますが、この電波が反射して地球に戻り、無線通信を可能にしているのです。
この<空気>という保護シールドは、<音>と<触れる>と言う特質をもっています。


Fire
<火>
地球のいかなる場所で発生した火花であろうと、その根源を辿ると最終的には太陽に行きつきます。太陽は巨大な火の玉です。それは凄まじいエネルギーの形体です。その中心部は想像を絶する高熱で、およそ摂氏1500万度といわれています。そこでは熱核反応が行われています。その炎の先端は何千キロにも伸びています。太陽の外側の層を光球といい、その上の赤色層を太陽の彩層またはガス層といいます。この上に2つの光りが長い尻尾を伸ばして見えます。その外側の層で1万1000度、コロナの部分で270万度、彩層では1万8000度の高熱が発生していると科学者は言います。

この光の源である火の玉は3つの特質を持っています。<音>、<触>れる、そして<形>がある、という特質です。


Water
<水>
空気の大海とは別に、水の大海が地球の3分の1を覆っています。また人体にも同じ分量、つまり3分の1の比率で水が含まれています。この地球上にあるすべての水のほんの1%の量しか人間は活用していません。何億の人間がたったそれだけの水で生きているのです。酸素と水素が水を構成し、全ての生物を支えているのです。水がなければ、私たちは体の中から毒物を溶かし、体外に排出することができません。私たちは一日中、水を様々な物に利用しています。私たちは何も食べなくても一定期間は生きる事ができますが、水がなければ死んでしまいます。水があってこそ、さまざまな文明が発達してきました。
今日も、そしてこれからも、人は水の力で生きていくでしょう。地球上に流れる水には最大の美徳があるといいます。水は液体、固体、気体とその形体を変化させます。

地球で最も偉大な<水>には次の特質があります:<形>があり、<触>れ、<音>がし、<錬金性>(ラーサ)がある、という特質です。


The Earth
<地球、土、地面>
地球は太陽系の一員として、4億5千万年を超える年月にわたり私たち人類と他のすべての生命を育んできました。そして際限なく太陽の周りを周回し、自らも自転しています。その過程で季節が発生し、生命が育まれます。ここで人はすべてを営み、達成し、遠い宇宙にまで旅します。しかし、ここに戻って来なくてはなりません。ここで人は驚異的なことを成し遂げ、ここで自然界の秘密を探り、そう遠くないうちには無限の創造の過程の秘密をも発見することでしょう。

今日まで神が創造された物の中で最も偉大な奇跡といえるものが、この地球です。慎重に思索する者はこの答に到達するでしょう。地球は時速何千キロの速度で移動し、近づき過ぎて太陽に燃やされない程度の、そして遠ざかり過ぎて氷の玉にならないよう適度な距離を保っています。そして、すべての生物の命を支えています。ここが中心地となり、数多くの発展や進歩が起きています。ここが全ての要素の礎となっている場所です。そして、5つの特質を持っています:<触れる>、<音>がする、<形>がある、<錬金性>をもつ(ラーサ)、そして<臭い(香り)>がある、という特質です。

このようにして5つの要素は各々の特質をもって自然界を代表し、神の制約を示しながらこの可視の世界に不可視の帝王として君臨しているのです。

VAASTU SHASTRA (建築の理念)という巨木を支える5本の根がこれらの要素です。地面にしっかりと根がはっていなければ、木はしっかりと立つことができません。家や寺院を建てる場合もVAASTUの原則をしっかり導入しなければなりません。でなければ進路を誤り、発展は阻まれ、人生の目的を見失うことになるでしょう。

我々の先祖や賢人達は、その比類なき智恵で自然界の秘密と各要素の重要性を見い出し、人が発展する為には各要素の力に沿う必要があることを説きました。そうしなければ、人は底なしの暗闇に落ちてゆくのです。

このような理由から、VAASTUの極意は何千年の歴史を経て我々に伝わってきました。

5つの要素に豊かに支援された、多くの重要な建築物が今日も人類の発展を支えています。5つの要素の効力がしっかりと達成できていない建築物からは進歩も発展も見られません。各要素の密かな力が効いている建物は、その種類に関係なく自然に力を強化し、完璧になっていきます。そのような建物の中で生活し働く人々は、間違いなく発展しています。5つの要素はこうしてVAASTUの5つの生命(パンチャ・プラーナ)となっているのです。